10/15(木)音響台本をつくる
音響台本を作成中です。こうなると稽古も終盤。
いよいよ仕上げにかかる段階に突入します。
これまで使っていた台本はメモだらけで、いまや却って判りにくい。
さらに、書いては消し、消しては書きのフリクションボールペン跡。
けっこう汚れている。
正月に作って以来お世話になってきたものですから
これはこれで愛着もありますが、ここで心機一転します。
それぞれの登場人物がせりふを語っていく中でキーとなる単語、
心理状態が切り替わるターニングポイントは
すでに腑に落ちていますから、いちいち確認する必要がない。
それよりも、もっと長い目で、
こことあそこが同じ主題の変奏になっている、
そういうことを一気につかまえて整理するのが、この音響台本づくり。
この作業は、今までそれぞれの場面に気を取られて
ゴチャゴチャになっていた頭をかなり整理してくれます。
そう云えば、この作業に勤しむとき、
台本を書く前と後の唐さんの頭の中はきっとこんな具合ではないかと
思うことがあります。
私の知る限り、唐十郎という人はメモを取る程度で、
箱書きや試し書きをしません。
頭の中に着想を溜めて溜めて、一気に、解き放つように書く。
まるでダムの放流のように書いていくのが唐十郎流。
だから、書き始める前は目がギラギラして殺気立っていて、
書き終わるといつもすっきりされていました。
『唐版 風の又三郎』は、約三週間で書いたと云います。
これだけのモチーフや人物が入り乱れていたら、
そりゃ頭はパンパンだっただろうなと、その苦しさが想像できる。
格は違いますが、私もその感覚を追体験しています。

