唐ゼミアンソロジーって?(2)

勿論、ワンシーンを選んで上演といっても、舞台装置も再現する。物ものも登場人物を翻弄して行く「出演者」であるから欠かせない。その為、まだ寒空が我が物顔で寝そべるその下で、劇団員達は装置の製作に取りかかっている。
なにも劇中だけではない。なにせ唐十郎教授の最終講義である。学生の皆さんが舞台芸術論を学ぼうと紙とペンを持って教室に入った瞬間、良い意味で肩透かしを食らうこと受け合いだ。
唐教授が初めて横浜国大にやって来た時、黒板を突き破ってその異様な世界を瞬時に作り上げた時、まさにその時間に教室という空間が回帰している。まるで唐十郎が私たちと同じ大学にいたことなど夢であったというかのように。是非、何が起こるのかと不安になっていただきたい。
そんなことを密かに狙いながら、今日も厚着をして作業に向かう。
〔いとうしげの〕

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