5/5(祝火)『24時53分”塔の下”行きは竹早町の駄菓子屋の前で待っている』本読みWS 第2回(最終回)

↑右側にある、グレーのブロック塀のところに、唐さんの家があったそうです
一昨日、5/3(日)夜に表題の処女作を読み切りました。
第1回から進み、さまざまな登場人物が現れます。
ある男……会社勤めに飽き、妹に勧められてこの町にやってきた青年
女…………その妹。「女」と書いてあるが少女のよう
浮浪者……「シルヴァ(ジョン・シルバー)」の歌をうたう。傷痍軍人風
そして、第1回から出ていた「男」は、この町の「役人」として、
塔にのぼり、笑いながら死んでいく人を管理する墓守りのような
キャラクターを強めていきます。
これまでに出てきていた「老人A」「老人B」「老婆」「息子(シンジ)」も、
最後はみんなが笑いながら闇に消え、標本のようにシルエットになっていく。
そういう景色が続きます。
「塔」が「長屋」であることを考えれば、
唐さんが育った万年町(北上野)の下町で、さしたる不満も覚えずに
一生を終える人々を描いていることは明白です。
ある登場人物が現れ、劇の進行とともに敵や仲間に出会いながら
課題や対立を経験して変化していくことを「物語」とするならば、
この処女作にはまだ、物語らしい物語はありません。
平々凡々、人が笑いながら死んでいく。
そういう現象のみが順番に描かれていくのみです。
が、、よく見ると、「ある男」にはわずかな抵抗があります。
おそらく、10,000段を登りきったところで、この塔は頂上に
辿り着く仕組みになっています。そして、他の登場人物が
さしたる抵抗も見せずにこの塔を登るなかで、「ある男」だけは
9,913段で足踏みし、この塔を登ることに抗うからです。
ここに私たちは、唐さんの青年らしい自己投影を見ることが
できますし、のちの青年主人公たちの萌芽を発見します。
改めて処女作に向き合うことで、唐さんが20歳過ぎまで
過ごした様子を振り返りました。自分にとっても、方々を
探検して歩き、調べ直す機会をなりました。
勢いで第二作『月光町月光丁目三日月番地』も読んでいます。
これも、いずれ読みましょう。
「何者でもない青年の不安」を描いた処女作の次は、
すでに「堕胎への不安」という20代を貫くテーマが
始まっています。
来週からは、『愛の乞食』を読みます。
『ジョン・シルバー』のエピソード・ゼロにあたる「巷談絵巻」を読み、
『ジョン・シルバー』シリーズ全体をおさらいしつつ、
このシリーズのスピンオフにあたる『愛の乞食』に入っていきます。
初回は5/9(土)です。


