代表より挨拶

中野敦之(なかのあつし)

1981 年生まれ。99 年横浜国立大学に入学し唐十郎教授に師事。 唐十郎ゼミナールを経て、05 年に劇団唐ゼミを創立。国内外で唐十郎の新旧作を新演出により上演。難解で知られる唐作品の読解と現代の観客への普及、テントや野外での公演 、イベントの企画・運営を手がける。

唐十郎の劇を極める

 気付けば、前回この「あいさつ」を書いてから5年以上が経ちました。そこで、これを更新することにしました。前回の文章を久々に読むと、「劇団では唐さん以外の作品をやらない〜云々」と書いてあります。バカな!
あの直後にやなぎみわさんに書いてもらったし、2015年には望月六郎さんにもお世話になった。もう言ったことをぜんぜん守っていない。我ながら、自らのいい加減さに驚いています。また、2014〜15年といえば、一旦テントを脇に置き、トラックの荷台を用いた囲いをした程度の劇空間を追究したり、さらに文字通り丸腰の野外上演で環境と芝居の一体化を図るという実験が続きました。これらはフットワークがやたら軽く、おかげで、長野、名古屋、大阪、秋田、山形、石巻、仙台と、行動範囲を広げることができました。その後、現在に至るまでの4年間は原点に帰り、『腰巻お仙』と『ジョン・シルバー』の両シリーズを極めようと躍起になってきました。その最大の成果は、つい先日の『ジョン・シルバー』三部作一挙上演でだったと自負しています。甘いところは甘く、辛いところは辛く、可笑しなところは可笑しく、切ないところは切なく、バカバカしいところは精一杯真面目にバカバカしく、こういったことができるようになってきました。また、三部作上演では今まで力を貸してもらってばかりいた唐さんに、少し、ほんの少しお返しができたのではないかと思っています。何せ、ご本人もやらなかったわけですから。これまで、唐ゼミ☆は演目的に、どちらかといえばマニアック路線を走ってきました。唐十郎門下として、世間や他の演劇人が注目しない作品にスポットを当ててこそ私たちだ、そういう思いが強かったからです。しかしここからは舵をきります。いわゆる傑作に、初演時の成功作に、これからは挑もうと狙っています。誰もが上演したがる作品を、誰もができないレベル、深度、多彩さ、振幅の激しさに到達して上演できなければ、「唐ゼミ」を名乗る資格はありません。王道にして新機軸を、これからはやります。どうぞよろしく!

劇団唐ゼミとは

横浜国立大学の教授だった唐十郎のゼミナールを基に発足した劇団。主に青テントで唐作品を上演。代表・中野敦之。05年の新国立劇場プロデュース公演以降、現スカイツリー建設地や、池袋西口公園など全国各地でテント公演を行う。09年浅草にてオカマ100人芝居『下谷万年町物語』を上演。11年、横浜にて唐十郎リサイタルなど4部構成からなる「大唐十郎展」を開催。12年、初の唐十郎新作書き下ろし『木馬の鼻』を上演。13年、KAAT神奈川芸術劇場にて『唐版 滝の白糸』を上演。唐作品以外に美術家やなぎみわや映画監督・望月六郎との合同公演や、テントを使用しない野外公演、オンラインワークショップを開催する等、精力的に活動している。

2019年@日本丸メモリアルパーク 写真:伏見行介

活動年表

1997年10月唐十郎氏横浜国立大学教授に就任
2000年4月唐ゼミナール発足
2001年1月第1回公演『24時53分「塔の下」行きは竹早町の駄菓子屋の前で待っている』
於 唐研究室内小舞台
※ 唐氏自らの演出
12月第2回公演(以下中野演出)『腰巻きお仙義理人情いろはにほへと篇』
於 横浜国立大学サークル棟内大練習場
※ 中野敦之らがゼミナールに入る
※ 客席に初代紅テントを吊る
2002年5~6月第3回公演『ジョン・シルバー』
於 横浜国立大学教育棟八号館裏紅テント
※ 状況劇場初代紅テントでの公演
11月第4回公演『動物園が消える日』
於 横浜国立大学学内紅テント
2003年5~6月第5回公演『少女都市からの呼び声』
於 横浜国立大学学内紅テント、新宿パンプルムス(劇場)
※ 東京進出
8月『動物園が消える日』再演
於 石川県金沢香林坊ハーバー(旧映画館)
※ 地方へ進出
11~12月第6回公演『鉛の心臓』
於 横浜国立大学学内紅テント、新宿パンプルムス、大阪阿倍野ロクソドンタブラック(劇場)
2004年4月『ジョン・シルバー』再演
於 横浜みなとみらい臨港パーク
※ 劇団発足、名称を『劇団唐ゼミ』へ
※ 青テント購入
7月第7回公演『盲導犬』
於 横浜国立大学学内青テント、東京大学駒場小空間、横浜沢渡中央公園青テント
11~12月第8回公演『黒いチューリップ』
於 横浜国立大学学内青テント、沢渡中央公園青テント、劇団新宿梁山泊アトリエ満天星
2005年1月唐教授最終講義イベント
3月近畿大学演劇フェスティバル参加『少女都市からの呼び声』再演
※ テントで初めての地方公演
4月新人公演『煉夢術』
於 横浜国立大学学内青テント、東京・サニーサイドシアター
9~10月新国立劇場LOFT公演『黒いチューリップ』、『盲導犬』
於 新国立劇場小ホール
※ チケット販売と共に即日完売。急遽、追加公演が組まれる
2006年4~5月第9回公演『お化け煙突物語』
於 新東京タワー建設予定地(現スカイツリー建設地)、横浜国立大学教育棟八号館裏特設青テント
9~10月第10回公演『ユニコン物語 溶ける角篇』(台東区篇より)
於 新東京タワー建設予定地(現スカイツリー建設地)、横浜国立大学教育棟八号館裏特設青テント、京都四条河原・元立誠小学校、新潟 西海岸公園自由広場、大韓民国 全州大学
※ 初の海外公演
2007年3月第11回公演『ジョン・シルバー(続)』
於 東中野 芝居砦・満天星
6~7月第12回公演『鐵假面』
於 池袋西口公園、川崎市市民ミュージアム
9~10月特別追加公演『鐵假面』
於 井の頭公園ジブリ美術館横 木もれ日原っぱ、京都四条河原町 元立誠小学校
2008年2月全州大学合同公演『メンドギョン(盲導犬)』
於 韓国/全州大学ホール
9~12月第13回公演『ガラスの少尉』
於 BankART Studio NYK(横浜・馬車道倉庫)、京都四条河原町 元立誠小学校、川崎市市民ミュージアム、山形県川西町フレンドリープラザ駐車場
2009年4,7月第14回公演『恋と蒲団』
於 建築会館中庭押入劇場
7~9月開国博Y150『ヒルサイドに巨大バッタあらわる!!』(パフォーマンス/設置)
10~11月第15回公演『下谷万年町物語』
於 浅草花やしき
2010年3月第16回公演『愛の乞食』
於 AスタジオHINODE
4月~7月『前衛下着道-鴨居羊子とその時代 岡本太郎・今東光・司馬遼太郎・具体美術協会』展(パフォーマンス/展示)
於 岡本太郎美術館
7月第17回公演『蛇姫様』
於 浅草花やしき
11月第18回公演『下谷万年町物語』
於 浅草花やしき
2011年4~11月第19回公演『海の牙』
於 浅草花やしき、横浜みなとみらい臨港パーク、横浜国立大学教育棟八号館裏特設青テント
5月特別公演『恋と蒲団』
於 福岡 三菱地所アルティアム
5月『下着アヴァンギャルド―鴨居羊子の小径―』(展示)
11月大唐十郎展
2012年4~7月第20回公演『木馬の鼻』
於 浅草花やしき
11月第21回公演『吸血姫』
於 浅草花やしき、長野市ごんどう広場
2013年6~7月第22回公演『夜叉綺想』
於 浅草花やしき、長野市ごんどう広場
11月KAAT×唐ゼミ☆合同公演『唐版 滝の白糸』
於 神奈川芸術劇場大ホール
2014年1,3月パノラマプロジェクト『パノラマ ー唐ゼミ版』
於 東京 台東区入谷各所/京都 元・立誠小学校
※ 脚本:やなぎみわ
6~7月第23回公演『木馬の鼻 決定版』
於 浅草花やしき
9~10月ノマド演劇プロジェクト『木馬の鼻』
横浜:関内大通り公園
長野:長野市ごんどう広場
名古屋:城山八幡宮
大阪:扇町公園
※ トラックの荷台を舞台にした、『トラック演劇』
2015年3月第24回公演『青頭巾』
於 浅草花やしき座(花やしき内 劇場)
8月特別野外公演 東北ツアー『青頭巾』
秋田:千秋公園 二の丸
山形:芋煮会大鍋の前(馬見ヶ崎 河原)
石巻:中瀬公園
仙台:西公園(花見広場)
※ 完全野外公演
9月横浜凱旋公演『青頭巾』
横浜:みなとみらい 臨港パーク
11月合同公演企画 第二弾『君の罠』
於 東京:新宿中央公園 水の広場 特設劇場
※脚本:望月六郎
2016年10月第26回公演『腰巻お仙 振袖火事の巻』
於 東京:新宿中央公園 水の広場 特設劇場
2018年1月第27回公演『あれからのジョン・シルバー』
於 横浜:若葉町ウォーフ
2019年1月第28回公演『ジョン・シルバー』特別公演『続ジョン・シルバー』
於 横浜:伊勢佐木バル333(The CAVE)
9月第29回公演『「ジョン・シルバー」三部作一挙上演』第1章『ジョン・シルバー』第2章『続ジョン・シルバー』第3章『あれからのジョン・シルバー』
於 横浜:日本丸メモリアルパーク内特設テント劇場

2020年11月第30回特別公演『唐版 風の又三郎』
於 東京:新宿中央公園 水の広場 特設劇場
2021年10月第30回特別公演 延長戦『唐版 風の又三郎』
於 東京:浅草花やしき裏  特設テント劇場
2024年3月第31回公演 『鐡假面』
於 横浜:大通り公園 横浜市技能文化会館前 特設テント劇場
2024年7月第32回公演 『少女仮面』
於 東京:恵比寿・エコー劇場
2025年8月第33回公演 『少女仮面』
於 東京:恵比寿・エコー劇場