12/6(金)年賀状の入稿迫る!
制作の岡村と年賀状を作っています。
手書きの部分があった方が良いとか、それだと読みにくくなってしまうとか。
工夫しながらやっています。
これまで正月3日くらいに届いた方が目立って良い、
などと言い訳していましたが、
やはり年頭の決意表明ですから、元旦に届くようにします!
……と、こう書いて、自分も含めた劇団員を追い込むのです。
先日に書いたゴーゴリの『外套』で思い出したのですが、
唐さんからはこれまで、多くの文学指南を受けてきました。
「自意識は宝物」という言葉とともに決まって引き合いに出すのは、
ドストエフスキーの『地下生活者の手記』でした。
今では『地下室の手記』というタイトルで出版されることの多いこの中編、
唐さんはご自身の学生時代に読んだ表題を気に入ってか、
断固として『地下生活者の〜』とおっしゃいます。
同じドストエフスキーの登場人物で特に気に入っていたのは、
『罪と罰』のスヴィドリガイロフ、『白痴』のムイシュキン公爵でした。
唐さんの作品には、ちょっと周りから馬鹿にされているような、
ボンヤリした青年が多く出てきますし、
ご自身も少年時代まではひどく内向的だったとおっしゃっていますから、
白痴と呼ばれながら最も清らかな人でもある、そんなムイシュキン公爵に、
シンパシーがあったのではないかと思います。
一方、スヴィドリガイロフの登場シーンなんて、
唐さんの芝居で1幕の終わりに悪の親玉が登場するところと、
完全に一緒ですしね。
発語してインパクトがあることも、すごく重要です。
唐さんがこれぞという固有名詞を捉えるセンスは天才的ですから、
いかにもあのセンサーに引っかかりそうな名前です。
逆に私から、読んで面白かったですよ、とお伝えした小説に、
『外套』と同じゴーゴリの『狂人日記』という短編があります。
世間からの評価に恵まれない主人公が自らをスペインの王様だと思い込み、
それをさらにバカにされることで輪をかけて狂気の度を深め、
やがて、ある日、犬の言葉を聴き取れるようになってしまう、
という物語です。
唐さんの小説『調教師』や戯曲『透明人間』には、
そんな具合に犬と人間の垣根を超えてしまう登場人物が出てきますから、
さぞ気に入るだろうと思って報告しました。
「それは面白い。オレも狂人だからな」と喜んでいらっしゃいましたが、
こちらが調子に乗り、「そうですね。唐さんは気狂いですもんね」と言うと、
「オレは気狂いじゃねえ!」と怒鳴られました。
即座に、裂ぱくの気合いで額を床に擦り付け、お許しを頂きましたが。
「気狂い」という言葉には、
「狂人」が持つロマンティシズムが欠けています。
こういう風にして、唐さんから文学を学び、言葉を学んできました。

