5/18(木)『RIO BRAVO(リオ・ブラボー)』を観る!
↑画面ごしに撮影した痰壺。コインがまさに壺に投げ入れられようとするところ
昨日に書いた映画『RIO BRAVO(リオ・ブラボー)』のDVDが届きました。
ワークショップの常連メンバーFさんの証言によれば、
この映画の中に唐さんの『二都物語』に影響を与えた場面があるらしいのです。
勇んで観始めると、そのシーンはさっそくやってきました。
早撃ちの名人ながら失恋ののちにアル中になっているディーン・マーチンが
悪党にからかわれる場面。酒場で無一文ながら物欲しそうな視線を向ける
ディーン・マーチンに対し、悪役はコインを取り出し、それを柱のたもとに
設えられた壺の中に投げ込みます。
ディーン・マーチンが酒欲しさに仕方なくコインを取ろうとすると、
保安官役のジョン・ウェインがそんな情けないことをするなと壺を
蹴飛ばす。ここまで一切のせりふ無し、のなかなか見事な場面です。
これ。正直に言うと、今回のことが無ければ、
ほんの少しの時間で過ぎていくこの場面の壺が他ならぬ痰壺であることに
自分は気づかなかったと思います。
と言うのも、自分は実働しているリアル痰壺を見たことがないのです。
調べてみれば、2005年まで痰壺は法律でも容認されていたそうなのですが
自分が物心ついた1980年代の後半には、すでにその役割を終え、
本来は衛生環境を守るための痰壺がむしろ不衛生なものと見做される
に至っていたのではないかと推察します。
ですから、痰壺そのものに馴染みが無かった。
映画の冒頭シーンはほんの一瞬です。
Fさんの指摘のおかげで、自分は『二都物語』だけでなく、
ハワード・ホークス監督の『リオ・ブラボー』そのものもまた、
よく理解することができました。
それにしても、この一瞬の場面を覚えていて自らの芝居に盛り込み、
本来の映画以上にドギツいシーンに仕立てる唐さんは、
やはり剽窃の名人です。さまざまなディティールに鋭く反応し、
それを自分流にアレンジ仕切って見せる。唐さんの見事な手腕です。

