6/17(金)それは彼の王国だった
↑わざわざスコアを持たされて撮影したのだろう。
後ろに見えるホールに行く予定。
今週末、再び遠出するつもりだ。
前回に行ったブライトンとグラインドボーン音楽祭から3週間。
次なる目的地はオールドバラ音楽祭である。
これは『戦争レクイエム』で有名なベンジャミン・ブリテンが
1948年に創立した音楽祭だ。彼は20世紀イギリスが生んだ最大の
作曲家だが、その最晩年期に自分の故郷オールドバラでの音楽祭を
立ち上げるに至った。ロンドンから電車で2時間半の土地。
その後、彼自身は1976年に亡くなってしまったが、
半世紀を越えた今も、音楽祭は健在、今年も6月に行われている。
音楽もさることながら、ホール自体も愉しみだ。
もともとウィスキー工場だったところを改装してできたというのだ。
音楽祭が開始されて程なく火事になったが、また復元されたらしい。
趣きもあって音響も良いと聞くから、期待が高まる。
ところで、先日、いつも都心に出た時に立ち寄る大型書店で、
この音楽祭に関するDVDを発見した。これは行く前に見ておきたい。
けれど15ポンド=2,500円する。一回見てしまえばおしまいなのに
高いと思い、Amazon UKを調べたら2ポンド送料無しの出物を発見、
注文した。
たった三日で届き、蓋を開けると監督のサインまで付いていた。
サインしてもらったのにとも思うが、ふとどき者のせいで恩恵に
あずかることができた。早速に本編を見たら、創立時の様子、
ブリテンの奮闘、若かりし日のエリザベス女王が祝辞を述べるところまで、
経緯が良くまとめられていた。
ホールの様子も 予習することができたが、
そのうち、気になることが出てきた。妙に少年たちがものを
食べるカットのインサートが多いのだ。
それに、ボーイソプラノのコーラスの稽古を熱心にやるブリテンにも
しつこいくらいにフォーカスしていた。
・・・要するに、そういうことなのだ。
ブリテンの盟友といえばピーター・ピアーズという男性歌手であり、
その関係が公私にわたるものであることは有名だ。
加えて、この監督は、ブリテンが音楽祭を立ち上げるに至った
モチベーションを潜ませたのではないかと思う。
少年たちを故郷の田舎に集め、熱心に指導をし鍛え上げる。
当然、都会からは遠いので合宿状態。
これは、ブリテンのモチベーションを大いに高めたに違いない。
私は、こういう仕事の仕方が心から好きだ。
個人的な動機があってこそ、仕事はただの仕事以上の迫力を帯びる。
そう考えてみると、『春の交響曲』『シンプル・シンフォニー』
『青少年のための管弦楽入門』など、ブリテンの仕事はまた違った
角度からも強く輝き始める。明日の昼過ぎ、オンラインの本読みを
終えたら出発だ。

