6/3(木)ワークショップレポート(林)

『海の牙〜黒髪海峡篇』、いよいよ一幕ラストへ!

先週は、按摩の義手を見破った呉一郎が、大車輪を完成させたところでした。
ではいってみましょう!

呉一郎は鉄の棒と義手でできあがった大車輪をシャラに見せ、
「円はこれでいいのですか?」と聞きますが、シャラの返答は「いいえ」

その大車輪は円じゃない。」

「君は直線しか知らない人です。

君はおそらく自分の心臓を四角に切って定規で心弁の尖をちょん切ることができるが、

勢い余って辺という辺を気が向くままにふやして、

それを円と思いこんでる。君の大車輪はそういう邪道の円だ」

聞き覚えがある。。
中学時代、鉄棒で大車輪をする呉一郎に瀬良皿子が言った言葉と同じ!

それを聞いた呉一郎は打ち明けるのです。
“邪道の円”の話が忘れられず、旋盤工になり、

“完全な円”を求めてきたこと。
ダダダントンタンと耳に響く日々、手まで震えること。

これまでの思いを告げながら、瀬良に近づく呉一郎。
しかし、瀬良は一変、呉一郎を拒絶します。

何故か。

近づいてくる呉一郎が手にしている、軍事将棋のスカーフ、鉄の棒。

チョゴリを着て、カツラをつけた瀬良皿子に
虐げられた女性たちのトラウマがよみがえってくるのです。

拒絶された呉一郎はまだ熱々の棒を掴んでしまう。
それを見たシャラは我に返ります。

その二人の後ろに円が出来上がっている。
名和四郎が黒髪を弦にして、ギリギリと弓を絞っているのです。

今まで「シュリンガーラ・ティリカ」
としか言うことができなかった名和四郎は、
円を描いている時だけ喋ることができる。
名和四郎は、一人海を渡ってきた苦しみを吐き出します。

さらに弓をひき、できあがった円が描くのは、母、父、自分。

彼はさらに語り出します。
名和    お父さん、この弓が円を描いている間、母を陰から出してください。
母を同じ人間として認めてほしいという名和四郎の切実な願い。

しかしその思いも父である梅原北明には通じず。
名和四郎は彼を矢で射ろうとします。
その矢は逃げようとした北明の背中へ。

と、その時、シャラの額にまた石が飛んでくる。
額から流れる血を見ようと手鏡を取り出します。

手鏡を覗き込み後ろへ歩き出すシャラ、あることを発見する。
シャラ   こうしてゆくと昼下がりの坂をもう一度あがってゆけるのよ。
呉        逆にのぼるんですね。

鏡を持って、坂道を後ろへ歩くと、鏡の中の自分は坂をのぼっているようにみえる。
(ワークショップでも手鏡を持ち出し、みんなでやってみました。)

シャラ   呼んでるのよ。
呉        誰が。
シャラ   石をぶつけられたあたしよ。坂の上で石をぶつけられて泣いているのよ。早くきてって。
呉        あんたはここにいるじゃないか。
シャラ   ここにいるあたしはこの鏡の中のあたし。
坂の上で自分を呼んでいたのは、自分だった!
そう気づいたシャラ は鏡に夢中になってしまう。
按摩はそのシャラ をレンタンの上に仰向けにしてしまう。

坂の上にいるシャラ 、坂の下にいるシャラ 。
そこを行き来するシャラの姿は、
呉一郎には千夜一夜の物語を語り続けるシェーラザードに見える。

呉一郎は、シャラを救うために、手鏡を奪い、投げ捨てる!

そして”ダントン”が語り始めるのです。
千夜一夜を語り続ける、シェーラザードよ、
そのループを抜け出そうと。

呉         さあ千夜一夜の一夜先へ完璧な円を描いて飛んでゆこうよ。(手をさしだす)
シャラ     (鏡の破片を手に)千夜二夜?
呉         はい。同心円の彼方に。

そしてダントンをつかむシャラ。
なんと”ダントン”には地雷が仕込まれていた。

“完璧な円”を目指すべく、いざ、脱出!(というか爆発!)
DSC_0384.JPG
二人の思いとともに宙を舞うダントン。それを見つめる二人。

そして、最後のト書き。
名和四郎は、もう一本の火矢を弓につがえて放つ。
笛の音をひびかせてとんでゆく。

と、ここでワークショップは終了!
なんとか一幕を読み終えましたが、名和四郎の放った矢の意味は謎のまま。。
来週はこの名和四郎の矢の意味を解いていきます。
そして、二幕へ突入!

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