6/6(土)初めての人たちと
今日は定例の稽古を行いました。
ほとんどのメンバーはリモートなのですが、
熊野+3人の新しい人たちには、
実際にハンディラボまで来てもらいました。
彼らは今回の『唐版 風の又三郎』のために集まってくれた面々ですが、
いずれも熊野や重村のこれまでの共演者、
私自身は初対面なので、全身や雰囲気を含めてどんな役者なのか、
こちらは稽古に際してこちらはどんな目標を設定しているのか、
理解し合おうと一堂に介しました。
と言っても、別に面談めいたことがあるわけでなく、
普通に集まって挨拶をし、早速本読みに取り掛かります。
リモートでパソコンの向こう側にいる劇団員や他の出演者を
紹介しながら、1幕後半を稽古しました。
面白かったのは、台本上に出てくる歌謡曲を紹介するくだりです。
西田佐知子の『エリカの花散るとき』
エンリコ・マシアスの『わかっているよ』
あと、せりふに登場する「ジュンとネネ」がどんな歌手なのかを
説明するために『愛するってこわい』を聴きました。
(この曲は『鉛の心臓』で歌われもしますからね)
私たちはもはや慣れっこになっているんですが、
彼らはこれら曲を聴いてかなり新鮮な反応を示すんですね。
それらナツメロのインパクトを劇に持ち込む唐十郎アンテナの鋭さを、
初対面の皆さんを通じて再確認しました。
いつもどんな風に芝居を作っているか一通りおしゃべりしもして、
帰りは車で駅まで送りました。
途中、お互いが劇を始めた頃の話をしたりして。
そこで自分自身も思い出したのですが、
私たちは芝居づくりがある段階に達すると、いつも唐さんをお呼びして
稽古総見をしていました。これは相当緊張するのですが、
新たな演目を観る時には唐さんご自身も緊張されていて、
終わった後によく飲み会をしたものです。
これには、緊張をほぐすことの他に別の意味もあって、
唐さんは現場に対してすごく気を使われる方でもありますから、
劇のダメなところをそうズケズケと指摘されたりはしません。
ですから、こちらとしてはダメなところははっきり言ってもらおう
という下心もあるのです。
時に、帰りにお送りする車の中でやっと呵責ない意見をもらったこともある。
もちろん、始終そんな厳しい会話をしているわけではなくて、
基本的には、通した芝居の面白さを縦横ナナメからバカ話も含めて
振り返るうち、ふと決定的なヒントが訪れるのです。
そんな風に過ごしてきたことも、皆さんと話すうちに思い出されました。

