1/27(火)『アリババ』本読みWS 第2回 その②
昨日の続きです。
「宿六」と「貧子」の娘、正確には堕胎児の名前は「英子」といいます。
「英子」は「ひでこ」と読み、これは唐十郎の本名である「義英(よしひで)」に
由来しています。唐さんは擬似的な父親として堕胎児を想っただけでなく、
自分のことを堕胎児になぞらえたのだということでしょう。
そのような意味と思いを込めて「ひでこ」です。
それから、ミドリのおばさんが轢かれて死んでしまうくだり。
世間の人々が「ミドリのおばさん」としか扱わない彼女を、「宿六」は
定期を調べ、彼女が「北千住に住む小島キク」であることを突き止め、
十把一絡げに彼女を扱う世間に対して激しく怒ります。
人間を個と捉えず、類型として扱うことへの憤りが表れています。
要するに自分は固有の自分であり、あなたは固有のあなたでありたい。
未だ無名だった唐さんの憤慨に他なりません。
結果として、うんこを投げる。
「宿六」だけでなく、「貧子」はもっと景気良くうんこを投げる。
爽快なシーンです。要するに社会への反抗。痛快と言った方が正しいか。
ちなみに、「キク」とは唐さんのおばあさんの名前です。
『佐川君からの手紙』の最後にも「キク」は出てきます。
果てしない優しさ。追い詰められた時の精神安定剤。
それが、キクおばあちゃんです。
といった具合に、細部にはそれなりに意味があります。
それに、警官と氷屋が手をつないで「宿六」を追いかけてくるという
描写には、唐さんの成長を感じます。
それまで、ただ暗く、陰陰滅々の芝居を書いていた唐さんが、
徐々に徐々に持ち前のギャグセンスや喜劇性を発揮し始めた、
その現れがこのくだりです。しかも、シリアスななかに突如として
コミカルをぶち込む。そういう大胆さは、のちに開花する唐さんの
真骨頂といえます。
といった要素をひとつひとつ、参加の皆さんにはたのしんで読んで
もらっています。
↓今日はテツヤと飲みながら、現在活躍している役者で少年役の似合う
人は、というテーマで語り合いました。テツヤはお湯割り、私はホットジャスミン
ティーです

