人魚の海

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海にいるのは あれは 人魚ではありません
 海にいるのは 波ばかり
 それでたとえ眠れなくても ひゅうごう 町をおそってやろう
これは盲導犬教師たちが劇中で謳う歌である。お気付きの方もいるかもしれないが、これは中原中也の詩から引用したものだ。
中原中也は中学生時代、学校の画一的な教育形式に抵抗する力を出すかのように、また抵抗の限界からの捌け口として詩を書いていたことがあるというが、『盲導犬』に登場する盲導犬教師たちが町を統一的に導こうとする様は恐ろしい。
善意を液体にたとえそれを「横流し」とする彼等はが町に現れると、町は瞬く間に様変わりしていく。水滴が流れ落ちるように、狂気は統一され、やがて通常になる。
彼等が唯一恐れるのは、銀杏がかかげる「火」である。束縛と愚かさを哀しみながらも楽しむ彼女は、町の狂気と限りなく遠い人物。盲導犬教師たちは無理矢理彼女を導こうとする。
その時ファキイルは、何のために姿を現すのだろうか。
(Shigeno Itou)

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