6/12(月)『ガラスの少尉』本読みWS 第1回

↑『ガラスの少尉』はかつて角川文庫から出ていましたが、現在はKindleで
読むことができます。『唐版 滝の白糸』『由比正雪』とともに収録されています

昨日から『ガラスの少尉』オンライン本読みが始まりました。
少し前に行った『盲導犬』に引き続き、1973年に発表された作品に注目しよう
というシリーズの一環です。作品世界を味わいながら、
『ベンガルの虎』を秋に上演するにあたり周辺で何が起こっていたか、
唐さんの脳内で何が志向されていたか、同時に考えてみるつもりです。

この『ガラスの少尉』はもともとが1973年6月8日に放送された
ラジオドラマ。その時はタイトルを『ギヤマンのオルゴール』と言いました。
それが、翌1974年7月に文芸誌「海」に掲載される時に『ガラスの少尉』
と改題されました。1974年の夏といえば、唐さんは『唐版 風の又三郎』の
国内公演を終えて、パレスチナに向かっていく時期です。

状況劇場の選抜メンバーがパレスチナに赴くなかで、
国内に残るメンバーに課題として出されたのが、この『ガラスの少尉』
だったとも聞いたことがあります。その後も、1976年に稽古場発表が
あったようですが、公式的な公演はない、変わった演目です。

元がラジオドラマだけに、場面はどんどん変わっていきます。
飛行機、バリに向かうジェット旅客機の内部から劇がスタートする
という設定そのものがかなり風変わり。
全編が、旅客機が墜落する間際に見た走馬灯という構成で描かれています。

ラジオから舞台用台本に書き換わる際、唐さんは後半を書き足しました。
太平洋戦争下のバリ島での出来事を後半に加えた、というのが主な
変更内容です。

1973年。
『盲導犬』はタイのバンコック。
『ベンガルの虎』は、バングラデシュ、ビルマ(ミャンマー)、カンボジアの
バッタンバン、フィリピンのマニラ。
そして『ガラスの少尉』は、インドネシアのバリ島。

という具合に、唐さんの目は東南アジアに向いていました。
いずれも、太平洋戦争の際に日本が戦線を敷いた地域です。

『少女仮面』『少女都市』『愛の乞食』『吸血姫』『二都物語』『鐵假面』
と、満州や朝鮮半島に注目してきた唐さんの志向が、南方に転じた。
それが1973年の創作です。必然、暑いし、湿度も高い。

明日は、冒頭のあらすじを整理します。