8/10(月)『ベンガルの虎』本読みWS 第2回

今日は月曜、昨日のオンラインWSの振替日です。
ご参加の皆さんと一緒に『ベンガルの虎』の序盤を読みました。

「女(カンナ)」と「中年男」
「中年男」と「お市」
「女(カンナ)」と「お市」
「カンナ」と「銀次少年」

という具合に、ほぼ一対一の対話にプラスして、
「お市」のまわりに「おこそ頭巾の女たち」、
シーンの合い間に、ビルマから日本に帰国中の「俗物隊長」「印肉」「天地」ら、
日本兵士たちの様子がまどろみのように挿入されます。

この序盤は、役者が一人ひとり顔見せしていく構成になっていて、
目先が変わりますので、おもしろく見れます。
けれど、物語進行的には、謎だらけです。

一応、明らかなストーリーとしては、
日本兵士「水島」の妻が、かつては家庭科教師、今は錦糸町の
キャバレーのホステスをしていて、夫の帰りと、夫が送ってくれた
象牙で作られたハンコを待っている。
そのうち、ミシン売りのセールスマンである「中年男」に絡まれたり、
町内の風紀を取り締まる産婆の「お市」らに辛くあたられたりする。
「女」が傷つけられて落ち込んでいると、そこへ、
教師時代の教え子である少年が通りかかり、再開する
という仕立てです。

これ自体は、そんなに複雑ではありません。
が、どうにもつかみどころのない要素が溢れています。

例えば、名前。
「女」の名乗る「カンナ」はホステスとしての源氏名。
「少年」の名乗る「銀次」は流しのギター弾きとして名乗った通称。
でもあることが、よくせりふを聴いているとわかりますが、
逆に言えば、結局は本当の名前がわからない。

「カンナ」の語る夫「水島」はビルマに残ったはずですが、
バッタンバンはカンボジアだし、シャム=タイも出てくるし、
劇のタイトルである「ベンガル」はバングラデシュのことだし、
どうも曖昧です。

「お市」は産婆だけでなく、競輪場の車検売りとして働いている。
ここまでは良いのですが、では、なぜ劇冒頭でハンコ屋に骨を運ぶ
役割を果たしていたのか。

ミシン売りの「中年男」は、誰なのか?

わかりやすい元女教師の物語の土台がなんとも不安定である。
これが、『ベンガルの虎』の謎めいたところです。

テイストとしてはコミカルな部分がたくさんありますが、
どうも胡散臭い。そのあたりを、参加されている方にお愉しみ
いただきました。胡散臭さとは、つまり、地雷のように埋め込まれた
未来への伏線ということです。

二幕、三幕に結びつきますので期待してもらいつつ、
次回は一幕中盤。8/16(日)19:30から第3回を行います。